「おんせん県」は地熱発電だけじゃない、山と海からバイオマスと太陽光

2015-02-26

大分県は特性によって6つの地域に分けることができる。このうち木質バイオマスが盛んなのは内陸部の3地域である。特に西部の日田市(ひたし)と南部の佐伯市(さいきし)を中心に大規模な発電プロジェクトが相次いで立ち上がっている。

日田市では地元の企業2社が共同で設立したグリーン発電大分の「天瀬(あまがせ)発電所」が2013年11月に運転を開始した。発電能力は5.7MW(メガワット)で、一般家庭の使用量に換算して約1万世帯分の電力を供給することができる。

燃料に使う木材は地域の森林事業者17社で構成する協議会が供給する。森林には間伐材や根曲がり材などが大量に発生するため、用途のない木材はC材やD材と呼ばれて山林の中に残置されている。こうした未利用の木材を森林事業者が集約して発電所に供給する体制を作り上げた。

未利用の木材を収集する範囲は発電所から半径50キロメートル程度の近隣地域である。発電所の敷地内には木材からチップを製造する工場も併設して、収集した木材を発電用の燃料として安定的に供給できる一貫体制を整備した。年間に使用する木質チップは6万トンにのぼる。

日田市内では2006年に「日田ウッドパワー発電所」が運転を開始して、地域の資源をエネルギーに転換する取り組みを先導してきた。発電能力が12MWもある大規模な木質バイオマス発電所である。林地残材のほかに製材工程で生じる端材などを含めて、年間に12万トンを燃料に使っている。

日田ウッドパワーを運営するファーストエスコグループは大分県内に2つ目の木質バイオマス発電所を建設中だ。南部地域に近い豊後大野市(ぶんごおおのし)に「大分第2木質バイオマス発電所」(仮称)を2015年内に稼働させる計画である。

発電能力は日田ウッドパワーを上回って18MWに達する。年間の発電量は1億2000万kWhを見込んでいて、一般家庭で3万3000世帯分の使用量に相当する。豊後大野市の総世帯数(約1万6400世帯)のちょうど2倍の規模になる。燃料に使用する木質バイオマスは林地残材と製材端材を合わせて年間に21万トンを予定している。

隣接する佐伯市でも木質バイオマス発電所の建設プロジェクトが2カ所で始まった。新電力のイ―レックスがセメント工場の遊休地に50MWの巨大な発電設備を建設する。燃料に使うのは東南アジアから輸入するパームヤシ殻である。投資額は170億円にのぼり、2016年の秋に運転を開始する見通しだ。
県内のエネルギー自給率100%へ

もう1つのプロジェクトは再生可能エネルギーの電力買取などを手がけるエナリスが地域の農林水産業と連携して推進する。発電能力は2.5MWと小さめながら、発電に伴う温水や焼却灰を地域内で再利用する点に注目が集まっている。バイオマス発電に必要な蒸気を冷却した後の温水をウナギの養殖事業に提供する一方、焼却灰は花の栽培などに利用する計画だ。

発電した電力はエナリスが買い取ったうえで、地域の公共施設などに供給することになっている。このような農林水産業(第1次産業)と連携した地産地消型の再生可能エネルギー事業を「佐伯モデル」と位置づけて、同様の仕組みを全国各地に展開していく構想もある。

これまで大分県の再生可能エネルギーは地熱発電が中心で、固定価格買取制度でも地熱の規模は全国で第1位だ。ただし地熱発電は運転開始までに時間がかかるうえに、地元の理解を得られないケースも少なくない。

大分県では2013年から「おんせん県おおいた」をキャッチフレーズに観光産業の拡大に乗り出した。地熱発電によって温泉資源の枯渇を心配する声が地元には根強くある。その点でバイオマス発電は地域の振興を兼ねて推進しやすいことから、今後さらに導入量を拡大できる余地が大きい。

大分県内では沿岸部の工業地帯を中心に大規模なメガソーラーも続々と運転を開始している。その中でも丸紅が2014年3月に完成させた「大分ソーラーパワー」は現時点で日本最大のメガソーラーである。発電能力は82MWで、年間の発電量は8700万kWhに達する。一般家庭で2万4000世帯分の使用量に匹敵する規模だ。

同じ工業地帯の一角では三井造船が17MWのメガソーラーを運転中で、さらに敷地内に45MWの太陽光発電設備を増設する工事を進めている。地熱発電に加えて沿岸部の太陽光発電と内陸部のバイオマス発電が拡大を続けながら、大分県のエネルギー自給率は100%に近づいていく。

リンク元(スマートジャパン):http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1502/24/news018.html

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